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中途採用のミスマッチを減らす選考課題(ワークサンプル)の作り方|設計シート付き

CoSprint チーム11分
大きな履歴書の横で、マーカーを持った採用担当者が内容を確かめているイラスト
要点

中途採用のミスマッチを選考で減らすには、入社後に任せる仕事に近い課題に取り組んでもらい、あらかじめ決めた基準で全員の提出物を読み、課題で見えなかった点を面接で確かめます。2022年に見直された研究の推定では、ワークサンプルの予測力は経験年数を大きく上回る一方、構造化面接には届かないため、課題と面接を組み合わせて設計します。応募者の時間を使う選考なので、所要時間と評価の観点は事前に伝えます。

リクルートワークス研究所の調査では、2025年度下半期に中途採用を実施した企業は84.4%で、比較できる2013年度下半期以降で最も高い割合でした。一方で、必要な人数を確保できなかった企業も51.5%ありました。※1

採用した人が定着するかどうかも課題です。マイナビが2026年7月に人事担当者1,600名に聞いた調査では、中途採用活動の課題として「入社後、早期に退職してしまう社員が増加している」を挙げた人が33.0%で、「求職者の質が低い」(34.4%)に次いで2番目に多くなりました。※2

この記事では、職務経歴書と面接だけでは見えにくい仕事の進め方を、選考課題(ワークサンプル)で確かめる方法を紹介します。基準・課題・採点の観点・面接で確認する項目を1枚にまとめる設計シートも用意しました。内容は2026年10月時点のものです。

職務経歴書と面接で見えるもの・見えないもの

中途採用で企業が期待するのは、これまでの経験を活かして入社後すぐに活躍してもらうことです。厚生労働省の令和7年転職者実態調査では、「専門的・技術的な仕事」で転職者を採用した理由として、「経験を活かし即戦力になるから」を挙げた事業所が64.1%、「専門知識・能力があるから」が51.2%でした。※3

その経験や能力は、主に書類で判断されています。マイナビの中途採用状況調査2026年版では、能力的な特性は主に「履歴書・職務経歴書」の段階で判断され、「適性検査・スキルテスト」も多く使われていました。一方、主体性や傾聴力などの気質的な特性は「人事との面接時」が中心でした。※4 職務経歴書からわかるのはこれまでの経験、面接でわかるのはそれを本人がどう説明するかです。入社後に同じような仕事をどう進めるかまでは、どちらからも直接は見えません。

選考方法ごとに入社後の仕事ぶりをどれだけ予測できるかについては、米国を中心に長年研究が積み重ねられています。よく引用されるのは1998年のSchmidtとHunterの分析で、ワークサンプルの予測力(仕事ぶりの評価との相関)は.54と、取り上げた方法の中で最も高い値でした。※5 2022年には、Sackettらが統計的な補正の方法を見直して推定し直し、上位の方法の多くで値が.10〜.20下がり、構造化面接が最も高くなったと報告しています。※6

選考の方法Schmidt & Hunter(1998)Sackettほか(2022)
構造化面接(質問と評価基準を事前に決める面接).51.42
職務知識テスト.48.40
ワークサンプル(選考課題).54.33
一般知的能力テスト.51.31
構造化されていない面接.38.19
経験年数.18.07

表の値は、Sackettらが2023年の論文で両方の推定を並べた表から抜き出しました。※7

2022年の推定で見ると、ワークサンプルの.33は経験年数の.07の4倍以上で、構造化面接の.42には届きません。それでも、二つの分析で変わらない順序があります。経験年数よりワークサンプル、自由な面接より構造化面接のほうが、入社後の仕事ぶりを予測しやすいという点です。

なお、これらの値は入社後の仕事ぶりの評価との相関で、ミスマッチや早期離職が減るかどうかを直接測ったものではありません。どちらも米国を中心とする研究を統合した推定で、国内の中途採用にそのまま当てはまるとは限りません。

中途採用に選考課題が向く理由

SchmidtとHunterは、ワークサンプルはすでにその仕事を知っている応募者にしか使えないと述べています。※5 Sackettらも、入社後の研修や仕事の中で技能を身につける未経験者の採用には、ワークサンプルは一般に向かないとしています。※7 経験者を採る中途採用は、選考課題をもっとも使いやすい場面です。

見直された推定では、予測力が最も高いのは構造化面接で、ワークサンプルとともに職務に合わせて作る方法が上位に並びました。※7 選考課題は、構造化面接と組み合わせて使います。課題で確かめられた基準と確かめられなかった基準を分け、確かめられなかった点だけを面接で同じ質問と判断基準で聞きます。

この進め方を続けるには、職種ごとに課題と基準を作り、提出物を全員同じ基準で読み、応募者ごとに面接で確認する点を整理する手間がかかります。応募者が増えるほど、この作業が採用担当者と現場の面接官の負担になります。CoSprintは、チームが実際に抱えている課題をもとに選考課題をつくり、応募者が取り組む過程を記録するAI採用ソリューションです。全員を同じ基準で評価し、根拠を引用したレポートと、面接で確認する質問をまとめます。合否を決めるのは採用担当者です。

CoSprintの選考レポートの画面例。左に応募者Bの履歴書と求人の応募要件との比較があり、一致は72%、必須要件の一つが「一部該当」、歓迎要件の一つが「確認できず」となっている。右の「面接で確かめること」には質問が二つあり、一つ目には解消・一部解消・未解消の回答の判断基準が開いている。
画面例:履歴書と求人の応募要件を照らし合わせ、確認できなかった点を、回答の判断基準つきの面接質問にします。

選考課題の作り方 5つのステップ

選考課題は、課題文から作り始めるのではなく、入社後に任せる仕事から逆算して作ります。

  1. 入社後3か月で任せる仕事を書き出す:求人票の文言を流用せず、配属予定部署が実際に任せる仕事を、現場面接官と一緒に具体的に書き出します。
  2. 見る基準を3〜5つに絞り、行動で書く:「主体性」「コミュニケーション力」のような言葉ではなく、「データから原因の仮説を立て、確かめ方まで決めている」のように、提出物や過程から読み取れる行動で書きます。
  3. 課題を作る:入社後の仕事を小さく切り出し、渡す資料、成果物の形、所要時間の目安、使ってよいもの(生成AIを含む)を決めます。題材は架空のデータや過去の事例にします。
  4. 採点の観点を水準ごとに書く:基準ごとに、高い水準と低い水準の目安を文章で書きます。本番の前に、評価者2人が同じ提出物を採点し、ずれた点を話し合って目安を直します。
  5. 面接で確認する項目を決める:課題では確かめにくい基準、職務経歴書と課題の結果が食い違う点、成果物の判断の理由を、全員に同じ質問として用意します。

CoSprintでは、チームが今抱えている課題について会議メモやデータを入れると、課題文と評価基準の下書きができます。記録で判断できなかった基準は、応募者ごとに面接で確認することとして残ります。

選考課題の設計シート(記入例つき)

上の5つのステップを1枚にまとめたのが、次の設計シートです。記入例は、SaaS企業のカスタマーサクセス職を想定しています。

課題の概要

項目書くこと記入例
職務入社後3か月で任せる仕事中堅顧客20社を担当し、解約の兆しがある顧客に対策を打つ
課題の題材入社後の仕事を小さく切り出したもの架空の顧客3社の利用データと問い合わせ履歴から、解約の可能性が最も高い1社を選び、次の1か月の対応案をまとめる
渡す資料架空のデータ、社外に出せる資料利用状況の集計表(架空)、問い合わせ履歴10件、製品の機能一覧
成果物形式と分量A4で2枚以内の対応案、またはスライド5枚以内
所要時間の目安応募者に伝える上限2時間以内
使ってよいもの生成AI、検索、表計算など生成AIの利用可。使った場合は、何に使い、どう確かめたかを1〜2行で書く
評価者誰が、何人で読むか配属予定部署のリーダーと採用担当者の2名

基準ごとの採点の観点と面接で確認すること

基準課題で見る行動高い水準の目安低い水準の目安面接で確認すること
データから原因を絞り込む利用データと問い合わせ履歴を突き合わせて、解約の理由を推定しているか利用の落ち込みと問い合わせの内容を結びつけ、仮説と確かめ方を書いているデータの要約にとどまり、理由の推定がない前職で顧客の課題の原因を特定した場面と、そのとき使った情報
優先順位をつける3社から1社を選んだ理由が書かれているか影響の大きさと手の打ちやすさで比べ、選ばなかった2社の扱いも書いている選んだ理由が印象にとどまる担当顧客が多いとき、何を基準に時間を配分してきたか
社内を動かす開発・営業への依頼が具体的か誰に、何を、いつまでに頼むかが書かれている「連携する」とだけ書いている他部署に断られた依頼を、その後どう進めたか(課題では確かめにくい)

表の右端の列が、面接の質問表になります。課題で高い水準だった基準は面接で繰り返し聞かず、確かめられなかった基準と、職務経歴書の内容と課題の結果が食い違う点に時間を使います。

応募者の負担と、事前に伝えること

選考課題は応募者の時間を使います。在職中に転職活動をしている応募者なら、平日の夜や週末を使うことになります。所要時間の上限を決めておけば、応募者がかけられる時間の差に左右されず、基準に照らして比べられます。課題を出す前に、次の5つを決めて伝えます。

  1. 所要時間の目安と提出期限
  2. 評価の観点(基準)と、成果物の形式・分量
  3. 提出物を実際の業務に使わないこと
  4. 生成AIなど、使ってよいものの範囲
  5. 結果にかかわらず、短いフィードバックを返すかどうか

CoSprintの選考課題は、生成AIの利用を前提としています。何をAIに任せ、結果をどう確かめたかを記録し、AIを活用する力として評価します。

課題の題材にも、公正な採用選考の考え方が当てはまります。厚生労働省は、本籍・家族・思想など適性・能力に関係のない事項を、エントリーシートや面接だけでなく作文の題材などによって把握することも、就職差別につながるおそれがあるとしています。※8 「あなたの家庭での役割を踏まえて」のような設定は避け、仕事の題材だけで組み立てます。

応募者が選考の方法をどう受け止めるかについては、17か国の38の標本をまとめた分析があります。10の選考方法のうち、ワークサンプルと面接が最も好まれるグループに入りました。※9 ただし、これは方法そのものの印象を聞いた研究で、課題の長さや量による違いを示したものではありません。

選考課題は、応募者が入社前に仕事の進め方を知る機会として設計することもできます。課題文に、配属予定部署が実際に大事にしている判断の基準を書いておくと、応募者にとっても自社に合うかを考える材料になります。

選考課題を手作業で運用するときの負担

設計シートができても、選考課題を毎回手作業で運用すると、次の作業が残ります。

  • 職種ごとに課題と基準を作り直す:募集が増えるたびに、現場面接官と課題文・基準・採点の観点を作ります。
  • 評価者によって提出物の読み方が変わる:同じ「高い水準」でも、評価者によって目安の読み方がずれることがあります。評価者が増えるほど、目安合わせの時間も増えます。
  • 成果物しか残らない:提出物だけでは、途中でどう考え、何を確かめたかが見えません。生成AIで整えた成果物なら、どこまでが本人の判断かもわかりません。
  • 面接で確認する項目の整理が採用担当者に集中する:応募者ごとに、課題で見えなかった基準と経歴とのずれを拾い、面接官に渡します。

CoSprintは課題に取り組む過程を記録し、基準ごとに根拠を集めます。課題で見えなかった点は面接の質問に回すので、採用担当者は判断そのものに時間を使えます。

選考課題が合わない場合

次のような採用では、選考課題を作り込むより、別の方法を中心にするほうが合っています。

  • 未経験者の採用:ワークサンプルは仕事を知っている応募者向けの方法です。※5 中途採用でも未経験者は増えており、2025年度の採用実績人数に占める未経験者の比率は31.9%でした。※1 未経験者には、学ぶ力を見る小さな課題にとどめるか、面接や適性検査を中心にします。新卒の選考で課題を使う場合のルールは、秋冬インターンと早期選考のルールにまとめています。
  • 応募が数名で、現場が一人ずつ時間をかけて見られる場合:カジュアル面談や体験入社と、手作業の課題で十分なことがあります。
  • 仕事の中心が画面の外にある職種:店舗、施工管理、製造現場などは、オンラインの課題で見られる範囲が限られます。実技や職場見学を組み合わせます。

CoSprintで選考課題と面接の確認項目をまとめる

CoSprintの選考課題では、応募者がAIの同僚に質問し、データを読み、提案をまとめます。取り組む期間は企業が決めます。

全員を同じ基準で評価し、発言と成果物を引用したレポートとショートリストにまとめます。職務経歴書は募集要件と照らし合わせ、課題での評価と並べて表示します。記録で判断できなかった基準は推測で埋めず、面接で確認することとして残します。職務能力とカルチャー適合の基準は自社の文書からつくり、合否を決めるのは採用担当者です。

中途採用での使い方は中途採用のページ、基準のつくり方は採用基準・評価シートのページでご覧いただけます。

よくある質問

Q1. 選考課題は、選考のどの段階で出しますか?

書類選考や一次面接で人数を絞ったあと、最終面接の前が使いやすい段階です。課題の結果をもとに、最終面接で確認する質問を決められます。応募が多い段階で全員に出すと、応募者と評価者の両方の負担が大きくなります。

Q2. 人材紹介会社から紹介された応募者にも、同じ課題を出せますか?

出せます。紹介元が違っても、同じ課題と基準で比べられます。課題があること、所要時間の目安、提出期限は、紹介会社にも事前に伝えておきます。

Q3. 提出された成果物を、実際の業務に使ってもよいですか?

使わない前提で設計し、そのことを応募者に伝えます。題材は架空のデータや過去の事例にし、自社の未公開の情報や、業務としてそのまま使える成果物を求める課題は避けます。

Q4. エンジニア以外の職種でも、選考課題は作れますか?

作れます。営業なら架空の顧客への提案、人事なら面接の評価基準づくり、経理なら月次の数字の増減の説明など、入社後に任せる仕事を小さく切り出せば課題になります。

Q5. 選考課題を導入すると、面接の回数は減らせますか?

減らせる場合もありますが、面接をなくすことはおすすめしません。課題で確かめられた基準は面接で繰り返し聞かずに済み、その分、課題で見えなかった点や経歴とのずれに時間を使えます。

CoSprintで見る

参考資料

  1. リクルートワークス研究所(2026)「中途採用実態調査(2025年度実績、正規社員)」 — 2026年6月12日公表。従業員5人以上の民間企業、回答3,901社、2026年1月23日〜3月2日調査
  2. 株式会社マイナビ(2026)「中途採用実態調査2026年版」 — 2026年9月28日公表。中途採用業務を担当する人事担当者1,600名、2026年7月10日〜15日調査
  3. 厚生労働省(2026)「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」 — 2026年9月25日公表。事業所調査9,154事業所、個人調査7,310人
  4. 株式会社マイナビ(2026)「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」 — 2026年3月公表。中途採用を担当する人事担当者1,500名、2025年12月17日〜22日調査。Q28「選考時に重視している要素の判断タイミング」
  5. Schmidt, F. L., & Hunter, J. E.(1998)「The validity and utility of selection methods in personnel psychology: Practical and theoretical implications of 85 years of research findings」Psychological Bulletin 124(2), 262–274
  6. Sackett, P. R., Zhang, C., Berry, C. M., & Lievens, F.(2022)「Revisiting meta-analytic estimates of validity in personnel selection: Addressing systematic overcorrection for restriction of range」Journal of Applied Psychology 107(11), 2040–2068
  7. Sackett, P. R., Zhang, C., Berry, C. M., & Lievens, F.(2023)「Revisiting the design of selection systems in light of new findings regarding the validity of widely used predictors」Industrial and Organizational Psychology 16(3), 283–300 — Table 1で、2022年の推定とSchmidt & Hunter(1998)の値を並べて示している
  8. 厚生労働省「公正な採用選考の基本」採用選考時に配慮すべき事項
  9. Anderson, N., Salgado, J. F., & Hülsheger, U. R.(2010)「Applicant reactions in selection: Comprehensive meta-analysis into reaction generalization versus situational specificity」International Journal of Selection and Assessment 18(3), 291–304

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