人事評価システムの選び方|評価の根拠をどこから集めるかで比較
人事評価システムを選ぶときは、機能と料金に加えて、評価の根拠をどこから集めるかで比べます。根拠となる情報は、評価者と本人が評価シートに書く内容、システムに登録した目標や面談の記録、業務ツールに残った仕事の記録の3つに分かれます。デモでは、根拠がどこから来るか、根拠のない項目をどう扱うか、最終的に誰が決めるかを最初に確かめます。
人事評価システムの比較記事では、クラウド型かどうか、目的に合った機能、企業規模、操作性、評価制度を再現できるか、予算、サポートなどが比較ポイントとして並びます。※1 どれも欠かせない条件ですが、評価シートの作成から回収、評価フローの設定までは、この記事で公式ページを確認した5製品がいずれも備えています。機能表と料金表を並べると、候補が3〜4製品残ったまま決めきれないことがあります。
一方で、評価される側の不満は、評価基準の分かりにくさと上司の主観に集まっています。Job総研が2026年10月に公表した調査では、勤務先に人事評価制度がある387名のうち73.0%が評価に不満を感じたことがあると答えました。不満を感じたことがある283名に理由を聞くと、上位は「評価基準が不透明」46.6%、「上司の主観で決まる」38.9%でした。※2
この記事では、評価の根拠をどこから集めるかという軸で人事評価システムを3つのタイプに分け、主な製品の公式ページで確認できる内容と、デモで確かめる質問を紹介します。
機能表と料金表だけでは決めきれない理由
評価シートをシステムで扱うと、配布・回収・集計の手間は減ります。ただ、評価シートに何を書くかは、システムを入れたあとも評価者に任されたままです。
『日本の人事部 人事白書2025』では、評価・報酬制度の運用の課題として「評価者による基準や運用のばらつきがある」が67.7%で最も多く、「評価者のスキルが不足している」が51.0%で続きました。※3 同じ評価基準を使っていても、評価者が思い出して書く出来事は人によって違います。評価者研修や評価調整会議での対策は、評価者による評価のばらつきを抑える方法で紹介しています。
そこで、候補が絞れた段階で比べたいのが「評価の根拠をどこから集めるのか」です。社員から「なぜこの評価なのか」と聞かれたとき、評価者が示せる材料はこの仕組みで決まります。
評価の根拠をどこから集めるかで分ける3つのタイプ
人事評価システムは、評価の根拠がどこから来るかで大きく3つに分けられます。1つの製品が複数のタイプを組み合わせていることもあります。
| タイプ | 根拠となる情報 | 誰がいつ集めるか | 強み | 確かめたいこと |
|---|---|---|---|---|
| 評価シート型 | 評価者と本人が評価シートに書いた内容 | 評価者と本人が、期末に思い出して書く | 今の評価シートと運用をそのまま移しやすい | 期末に思い出せる範囲の出来事に寄らないか。記入と催促の手間は残る |
| 目標・面談記録型 | システムに登録した目標、1on1や面談の記録、過去の評価 | 本人と上司が、期中に入力を続ける | 期初から期末までの記録がシステムの中でつながる | 入力が続かないと記録がたまらない。導入した最初の期は過去の記録がない |
| 業務記録型 | チャット・課題管理・ドキュメントなど、業務ツールに残った仕事の記録 | システムが、連携したツールから集める | 社員の記入がいらず、評価期間全体の記録を同じように見られる | 業務ツールの外の仕事は記録に残らない。何を読み、何を読まないか |
評価シート型と目標・面談記録型では、根拠を集めるのは人です。この記事で確認した製品では、AIの機能があっても、AIが扱うのは評価シートや面談の記録など、システムに登録されたデータです。3つ目のタイプは、評価者が思い出して書く代わりに、仕事が行われたツールから根拠を集めます。
CoSprint Peopleは、この方式のAI人事評価ソリューションです。課題管理・ドキュメント・チームチャンネルなどに残った記録を自社の評価基準ごとに分析し、根拠となった記録の原文を引用した評価の下書きをつくります。根拠が見つからない基準は推測で埋めず、空欄のまま評価者に渡します。
主な人事評価システムの公式ページで確認できること
2026年11月3日に各社の公式ページを開き、評価の材料、AIが手伝うこと、料金の掲載状況を確認しました。比較サイトや営業資料ではなく、公式ページに書かれている内容だけをまとめています。機能の範囲と最新の料金は、各社に確認してください。
| 製品 | 位置づけ | 評価の材料とAIが手伝うこと(公式ページの記載から) | 料金の掲載状況 |
|---|---|---|---|
| カオナビ | タレントマネジメントシステム | 評価シート、目標、自己評価、評価者コメント。AIが登録データをもとに目標や振り返りを添削し、自己評価では評価基準や過去の評価データから評価コメントの案を生成。評価者のコメントもAIが確認※4 | 機能と人数を選んでプランを作成。金額は見積もり※5 |
| HRBrain 人事評価 | HRBrainシリーズの人事評価製品(タレントマネジメントとは別製品) | 評価シート、OKR・MBO・1on1のテンプレート、1on1・キャリア面談の記録。目標の質を自社の評価基準に沿ってAIがレビューし、振り返りもAIがレビュー※6 | 利用人数に応じて変動し、問い合わせ※6 |
| SmartHR | 人事労務とタレントマネジメント(人事評価はタレントマネジメントの機能) | 評価シートの作成、進捗管理、回収、評価計算。評価基準の文書を学習させたAIアシスタントが、目標設定や評価記入についての社員の質問に回答※7 | 規模や要望に応じて見積もり。初期導入費用・サポート費用は無料と記載※8 |
| ジンジャー人事評価 | 人事労務・勤怠・給与などと組み合わせる人事評価 | 評価シート、評価フロー、計算式、一括リマインド。評価結果を給与に反映する使い方を紹介※9。AIが評価面談のアジェンダ、議事録、自己評価の下書きづくりを支援(Manager Assist)※10 | 「ご利用製品×ご利用人数」。月額300円〜×利用者数(税別、製品ごとに異なる)※9 |
| ヒョーカクラウド | 紙・Excelの人事評価のクラウド化 | Excelの評価シートをクラウドに再現。MBO・コンピテンシー評価、360度評価、スキルマップ※11 | 300名で月額30,000円(税抜)の例を掲載。利用人数により変動※11 |
5製品とも、評価の材料は評価者と本人がシステムに入力した内容が中心です。公式ページにAIの機能を載せている4製品では、AIが手伝うことは製品によって違います。書いた目標や振り返りを添削・レビューするもの、登録済みのデータから評価コメントの案をつくるもの、目標設定や評価記入についての社員の質問に答えるもの、評価面談の準備と記録を手伝うものがあります。4製品とも、評価シートや面談の記録など、システムに登録された内容をもとにAIが手伝う仕組みです。
公式ページに金額の目安を載せているのは5製品のうち2製品で、ほかの3製品は見積もりです。載っている金額も、利用人数、組み合わせる製品、初期費用で総額が変わります。同じ人数と同じ機能範囲で見積もりをそろえると、比べやすくなります。
業務ツールの記録から根拠を集める方式も候補に入れる場合は、CoSprint Peopleにも次の章の同じ質問をしてみてください。
デモと無料トライアルで確かめる10の質問
候補が絞れたら、デモの前に次の質問を各社に送り、その順に画面で見せてもらいます。1〜3は根拠をどこから集めるかについての質問で、最初に聞くと製品の違いが早く見えます。
| # | 質問 | よい答えと確かめ方 |
|---|---|---|
| 1 | 評価の根拠はどこから来ますか | 評価シートへの記入、システム内の記録、業務ツールの記録のどれかが画面で分かる。確かめ方:評価コメントの根拠から元の記録までたどってみる |
| 2 | 評価期間全体の記録を見ていますか | 期初から期末までの記録が月ごとに並ぶ。確かめ方:期末の数週間の出来事に偏っていないかを見る |
| 3 | 根拠がない項目はどう扱いますか | 推測で文章を埋めず、空欄や「根拠なし」と表示する。確かめ方:記録の少ない社員のデータで試す |
| 4 | AIは何をして、最終的な評価は誰が決めますか | AIの役割が文書に書かれていて、評価ランクと処遇は評価者が決める。確かめ方:製品資料と契約書のAIに関する記載 |
| 5 | 何を読み、何を読まないですか | 対象のデータと、対象外のもの(DMなど個人間のメッセージ)が文書で示される。確かめ方:連携範囲の設定画面 |
| 6 | メッセージ数やログイン時間を点数にしますか | 業務ツールと連携する製品の場合、活動量は評価に使わないと明記している。確かめ方:評価の算出方法の説明資料 |
| 7 | 自社の評価制度をそのまま再現できますか | 評価ランクの段階、ウエイト、相対評価の配分、一次・二次の流れが設定画面でつくれる。確かめ方:今の評価シートを1枚移す |
| 8 | 社員と評価者の記入は、今より増えますか減りますか | 誰が、いつ、何を入力するかが一覧で示される。確かめ方:評価期間のスケジュール例を出してもらう |
| 9 | 料金は何で決まりますか | 課金する人数の数え方、初期費用、AI機能の追加費用が分かる。確かめ方:同じ人数での見積もり |
| 10 | 社員への周知に使える資料はありますか | 周知文の例や、データの扱いを説明する資料が用意されている。確かめ方:資料の現物をもらう |
10項目の答えを一つの表にまとめると、そのまま稟議の添付資料に使えます。稟議書の書き方は人事評価へのAI導入 稟議書テンプレートで紹介しています。CoSprint Peopleの答えは、記事の最後の章にまとめました。
業務ツールの記録を根拠にする方式が向かない会社
業務ツールの記録を根拠にする方式は、どの会社にも合うわけではありません。次の場合は、評価シート型や目標・面談記録型の製品が先に検討する候補になります。
- 現場作業、店舗、外回りの営業など、仕事の記録が業務ツールにほとんど残らない職種が中心の会社。 記録から見つかる根拠が少なく、評価者の判断の比重が大きくなります
- 目標管理(MBO・OKR)や1on1の運用そのものを、システムで定着させたい会社。 目標設定と期中の記録の機能を中心にした製品が向いています
- 勤怠・給与・労務の手続きとまとめてシステムを入れたい会社。 人事労務の製品と同じシリーズの人事評価を選ぶと、社員情報を一か所で管理できます
- 評価基準や評価ランクの規程がまだない会社。 システムより先に、人事評価シートのテンプレートで評価項目と根拠を書く欄をつくるところから始めます
反対に、評価制度と評価シートはすでにあり、チャットや課題管理、ドキュメントで仕事をしている会社で残る課題は、根拠を集める手間です。評価シート型のシステムでは、評価者が半年分の仕事を思い出して書き、人事がシートを回収して根拠の書き直しを頼む作業が、毎期評価者と人事の手に残ります。
CoSprint Peopleで評価の根拠を業務ツールの記録から集める
CoSprint Peopleは、チームがすでに使っている業務ツールとつながり、評価期間全体の仕事の記録を自社の評価基準ごとに分析します。ツールごとに管理者が一度承認すれば連携でき、基準ごとに根拠となった記録を引用した評価の下書きをつくります。前の章の質問のうち、料金を除く9つにCoSprint Peopleで答えると次のとおりです。
| # | 質問 | CoSprint People |
|---|---|---|
| 1 | 根拠となる情報 | 課題管理、ドキュメント、チームチャンネル、コードリポジトリ、デザインファイルに残った記録。基準ごとに原文を引用し、元のツールへのリンクをつける |
| 2 | 評価期間 | 評価期間全体の記録から根拠を引用する。半期・年次の人事考課のほか、四半期・月次のレビューにも使える |
| 3 | 根拠がない項目 | 推測せず空欄のまま残し、評価面談で確かめる点として評価者に渡す |
| 4 | AIと人の分担 | AIは根拠を集めて整理する。評価者は、記録が裏づける評価ランクの範囲と判断が分かれる人の一覧を見て、自社の規程に沿って最終ランクを決める。報酬や昇進も人が決める |
| 5 | 読まないもの | DMなど個人間のメッセージ、個人ドライブ、メールは対象外。画面やキー入力も取得しない。原文はCoSprintに保存されず、レビューに残るのは短い引用と元のツールへのリンク。AIの学習には使わない |
| 6 | 活動量 | メッセージ数・コミット数・ログイン時間などの活動量は点数にしない |
| 7 | 評価制度の再現 | 組織図と行動指針の資料から、職種ごとの評価基準の下書きをつくる。最終的な評価ランクは、相対評価でも絶対評価でも自社の規程に従う |
| 8 | 記入の手間 | 社員の記入はいらない。今の360度評価と並べて使うことも、置き換えることもできる |
| 10 | 社員への周知 | 開始前に会社が社員に周知する。周知文の下書きはCoSprint Peopleが用意する |
連携の範囲と除外する範囲は、セキュリティのページでツールごとに紹介しています。Slack、Jira・Confluence、GitHub、Google Workspace、Notion、Microsoft Teams、LINE WORKS、Chatworkなどに対応予定です。AIと評価者の分担は人事評価のAI活用のページで詳しく紹介しています。CoSprint Peopleは提供開始前の製品で、セキュリティの各項目は段階的に適用します。
よくある質問
Q1. Excelでの運用から人事評価システムに切り替えるのは、いつがよいですか?
評価期間の途中は避け、期初の目標設定の前に切り替えるのがおすすめです。評価シートの移行、評価者の設定、社員への案内まで終えてから新しい期を始めると、期中の記録も最初から新しい仕組みに残せます。上期評価の最中であれば、今期はこれまでどおり運用し、下期の開始に合わせて準備を進めます。
Q2. 無料トライアルでは何を試せばよいですか?
サンプルデータではなく、今使っている評価シートを1枚そのまま移してみることです。評価ランクの段階、項目ごとのウエイト、相対評価の配分、一次評価と二次評価の流れが設定画面だけでつくれるか、評価者の権限でほかの部署の結果が見えないかを確かめます。
Q3. タレントマネジメントシステムと人事評価システムは何が違いますか?
タレントマネジメントシステムは、社員の情報を一つにまとめ、配置や育成にまで使う仕組みです。人事評価はその機能の一つとして含まれることが多く、評価に絞った製品もあります。評価の運用を変えたいのか、人材データの活用まで広げたいのかで、比べる製品が変わります。
Q4. AIが評価コメントの案を書く機能は、そのまま使ってもよいですか?
そのまま社員に渡すことはおすすめしません。案は下書きとして使い、評価者が根拠を確かめて自分の言葉で直します。最終的な評価と説明の責任は評価者にあるため、AIの案と評価者が直した最終版が区別して残るかも確かめておくと安心です。
Q5. 業務ツールの記録を評価に使うことは、社員にどう伝えればよいですか?
開始前に、どのツールのどの記録を何のために使うのか、読まないものは何か、評価を決めるのは誰かを文書で知らせます。評価結果を賃金や賞与に反映する場合は就業規則との関係もあるため、導入前に労務・法務の専門家へ確認することをおすすめします。
CoSprintで見る
参考資料
- カオナビ人事用語集「人事評価システム13選! 機能とメリット、比較ポイントを解説」(2026年11月3日確認) — 比較ポイントとしてクラウド型か否か、目的に適した機能、企業規模、操作性、評価制度の再現性、予算、実績、セキュリティ、サポートの9項目
- Job総研(2026)「2026年 人事評価の実態調査」 — 2026年10月5日公表、2026年9月2日〜8日調査、全国の20〜50代の就業者476名
- 日本の人事部(2025)「評価・報酬制度の課題は『基準や運用のばらつき』が7割【人事白書2025 調査結果】」 — 2025年3月調査、6,139社の回答
- カオナビ「評価ワークフロー(スマートレビュー)」(2026年11月3日確認)
- カオナビ「料金プラン」(2026年11月3日確認)
- HRBrain「HRBrain 人事評価」(2026年11月3日確認)
- SmartHR「人事評価」機能ページ(2026年11月3日確認)
- SmartHR「料金プラン」(2026年11月3日確認)
- jinjer「ジンジャー人事評価」(2026年11月3日確認)
- jinjer「ジンジャーのAI」(2026年11月3日確認) — Manager Assist:評価面談の準備・対話・記録をAIが支援(アジェンダ生成、議事録作成、自己評価の下書き)
- シーグリーン「ヒョーカクラウド」(2026年11月3日確認)